第31回「健康と経営を考える会」定例会開催レポート

お知らせ 2023年12月19日 配信

「健康と経営を考える会」第31回定例会(会員のみ参加)を、会場(同友会ビル会議室 文京区)× オンラインで10月17日(火)に開催いたしました。

今回は、①当会代表理事・山本先生より9月12日開催「サマーセミナー開催報告」、②厚生労働省保険局・山下保険課長より「第3期データヘルス計画及び第4期特定健診・特定保健指導」をテーマとし開催しました。

株式会社 ミナケア 山本代表取締役社長 報告内容

2023 Summer Seminar開催報告

山本先生からは、サマーセミナー動画を共有しながら内容の一部を以下のようにご報告いただきました。(*サマーセミナー内容については、先日ご案内したレポート内容となります)

横倉名誉会長の挨拶の中で「ウェルビーイングは公共性があり、利他的で、持続性のあるもの」と話されていることから、健保の取組みにも通ずるところがあると感じました。

自身の講演では、「健康と経営を考える会」設立と活動について紹介いただきました。健康と経営を考える会は、健保だけの勉強会ではなく、企業、産業医、更には行政の皆様が参加する会としています。本来力を合わせて同じ方向に向けていくべき人々が、この会の場で一堂に会して共通の目標をつくる、理解を得ることを目指しています。

今回の福岡市開催・サマーセミナーでは、ご登壇いただいた横倉名誉会長、渡辺・日本健康会議事務局長、永田・産業医科大学准教授に、当会・特別会員にご就任いただく機会が得られ、会にとっても学びの多いものでした。

山下 厚生労働省 保険局 保険課長  講演内容

第3期データヘルス計画及び第4期特定健診・特定保健指導について

2012年、大島事務次官が保険局総務課長、山下保険課長が総務課政策調整委員の時、データヘルスの施策を立案しました。特定健診・保健指導のデータが蓄積されてきたことから、その大規模データに基づいたエビデンスによる対策に結びつけようとするものです。

今の保健事業は特定健診・特定保健指導にウエイトが大きいと思われますが、その他の施策についても力を入れていただきたいと考えています。現在の加減算制度では特定健診・保健指導の配点が高く、他の保健事業施策推進にとってネックとなっていることが考えられるので、2年後までに他施策との配点差を無くしたいと考えています。それにより、各健保にはそれぞれの課題を見つけ対策を検討し実行、また、様々な施策のエビデンスを各健保で集めて他健保へ展開いただきたいとも考えています。

健診データを活用した保健事業を進めるため、法律上の制約は取ったので、事業主もしくは健診機関から健診データを健保にもらうようにすればよいのではないでしょうか。健診機関においても中間サーバにつなげ、マイナンバーで検査結果を紐づけて本人も結果が分かるようにすること、保険者がデータ受取、保健事業推進ができるようにすることも考えていきたいと考えています。

特定健診・22項目質問票の活用も重要で、質問票回答内容と健診データやレセプトを組み合わせて解析することで、多量のデータから必要な保健事業や、他の健保への展開もできるのではないかと考えます。

第四期特定保健指導では、アウトカム評価(2cm・2kg達成で特定保健指導終了 など)導入で省力化され、保健師が他のリスクの高い人への対応が可能となるのではないかと考えている。

また、データヘルス推進には、健診データのみではなくレセプト情報の更なる活用や変更も必要と考えます。レセプトは、現在の治療結果記載のみでなく、検査結果や治療の経過について追記可能となることが患者にとっても重要と考えます。レセプトの変更は厚労省ではできないため、健保から中医協に提案し進めることはできないかとも考えます。

質疑の中でフロアから出た話題は以下となります。

がん検診については、コードを統一化したうえで、マイナンバーに紐づけることを考えたい。

医療機関の精度管理について、レセプトで行うことも可能だが保険者単独では実施することが難しい状況で、他の機関に行っていただくことも検討いただければと考えます。他機関として社会保険診療支払基金や健保連という案も出ました。健保から課題を上げることは重要だが、健保担当者は数年で入れ替わるため、課題意識が引き継がれません。担当者が替わっても課題意識レベルを維持することが重要と考えます。

健診データを早く収集することも課題で、そのためにはデータフォーマット統一も必要だが、学会等での議論が長年に渡り確定しておらず、厚労省主導で決めていただくことが重要と考えます。

定期健診のみならず、特定業務従事者健診や特殊健診等のデータも含め総合的に判断できるよう、データの取りまとめを国主導もしくは、いずれかの機関に委託して行うことが必要ではないかとの議論もありました。


健康経営・データヘルスに熱心に取り組む会員団体の方、会場29名×オンライン25名にご参加いただき、盛況のうちに閉会となりました。