第27回「健康と経営を考える会」定例会開催レポート

お知らせ 2022年04月22日 配信

第27回「健康と経営を考える会」定例会開催レポート

「健康と経営を考える会」の第27回定例会(会員のみ参加)を、会場×オンラインで3月23日(水)に開催いたしました。
最初に「コロナ期の会員団体の取組み」として、会員3団体(博報堂・第一生命・トッパングループ健康保険組合)よりご講演いただきました。

博報堂 講演内容

博報堂 加藤保健事業部長・ 横田マネジメントプランニングディレクター

博報堂 加藤保健事業部長・横田マネジメントプランニングディレクター

博報堂からは、健康保険組合の加藤保健事業部長と株式会社博報堂の横田人事局健康推進部マネジメントプランニングディレクターよりご講演いただきました。

博報堂では、(1)健康不安や健康必要性への気づきを与える情報提供と(2)多様かつ継続的な健康情報・行動変容の受け皿(健康プログラム)を提供することで、行動変容を促すきっかけとなる出来事を逃さないよう年中途切れなく事業主と健保で情報提供されています。

各種取り組みの中で、以下3つの取組みをご紹介いただきました。

  1. (健保事業)『100秒でよめる・できるマガジン』
    2ヶ月に1度発行していた紙媒体の健康ニュースを廃止し、2021年6月より隔週メルマガ配信。
    常に情報発信し、健保の認知向上にもつなげる。
  2. (事業主事業)『カラダCHANTO!プロジェクト』著名な講師を迎えて、様々な健康セミナー、健康イベント(リアル・オンライン)実施。
  3. (コラボヘルス事業)『健診戦』2年分の定期健診データ比較。改善者を表彰するヘルスエンターテインメント。社員の参加モチベーションを高めるよう博報堂ならではのクリエイティブな告知や結果発表を行っており、動画により説明。社員全体の40%参加し、保健指導対象者の参加率も他プログラムに比べて高い。

第一生命 講演内容

第一生命 田中理事長

第一生命 田中理事長

第一生命からは、人事部ラインマネジャー・健康増進室長 兼 健康保険組合理事長の田中様によりご講演いただきました。

グループ重要課題の一つとして顧客・社員ともにSDGs目標の中の『すべての人に健康と福祉を』を設定、2011年社長より全社員に向けグループ健康宣言を発信、企業行動原則の中に『健康増進』を入れ、グループ・ブランドメッセージは『いちばん、人を考える』と、第一生命ならではの設定をしています。

これにより、2021-23年・健康増進中期計画として、以下の取組みを行っています。

①疾病予防

  • ヘルスケアポイント制度:QOLismアプリを活用し、歩数・食事記録やウォーキング・チーム対抗戦等をポイントとして表彰・各種ギフトカードポイント交換等行い、行動変容を促している。社員の7~8割が登録している。
  • がん検診積極受診:家族・本人の受診費用を全額会社負担、マンモバスを全国巡回により受診率を高めている。

②重症化防止

手厚い職制勧奨、面接日程再調整などにより、特定保健指導初回面談・各事業所の目標としている9割以上を達成している。

③メンタルヘルス対策

2021年度、特に20-30代でメンタル不調者が増え、1 for 1(第一生命版1 on 1)等でのコミュニケーションによる早期解決を目指している。

トッパングループ健康保険組合 講演内容

トッパングループ健康保険組合 梅木ヘルスケアチーム課長

トッパングループ健康保険組合 梅木ヘルスケアチーム課長

トッパングループ健康保険組合からは、梅木ヘルスケアチーム課長によりご講演いただきました。

取組内容

①コラボヘルス推進

  1. 全国グループ150名にヘルスケア推進委員委嘱
    健康イベントや受診促進実施
  2. 事業所ヘルスケアreport提供
    健保より事業所に、事業所の健康度順位・課題等記載したreport提供
  3. 事業所ヘルスケア費用補助
    ヘルスケア推進委員企画の健康イベントに健保より費用補助
  4. 表彰制度
    健康づくり活動を積極的に行った事業所を表彰するトッパングループ健保ヘルスケアアワード開催
  5. 職域接種
    社員と家族対象に、健保診療所スタッフにより接種実施
  6. 健康経営支援
    全グループ企業の健康経営優良法人認定支援
  7. 健保とSDGs

凸版印刷が進めるSDGs重要課題の一つとして、「従業員の健康・働きがい」を設定、「70歳まで健康に働く」ことを目標として推進するためのコラボヘルスによる健康経営支援実施

②がん検診推進

社員全員対象に、全額健保負担で、がん検診実施(乳がん、子宮がん、胃がん)。ヘルスケア推進委員受診勧奨。

③家族特定健診

2021年度、コロナ禍にあっても80%台受診。ソーシャルディスタンスを考慮しつつ、早期申込予約勧奨実施。

④特定保健指導

モデル実施として、社員食堂を活用した保健指導やアプリ活用により、2020年度、7割が体重-2kg、腹囲-2cm達成。

コロナ禍 健康管理対策

①コロナ禍 新しい課題

受診控えが増えたため、重症化予防の必要性を発信。

②コロナ禍 オンライン対応

オンライン・ヘルスケア推進委員会研修会、オンライン診療・薬局、オンライン体操、オンラインカウンセリング・保健指導実施

③健康情報ICT化推進

費用補助電子申請、マイナポータルから健診結果・薬剤情報利用促進

高木参事官 講演内容

デジタル庁 高木参事官

デジタル庁 高木参事官

次に、デジタル庁参事官の高木有生様よりご講演いただきました。高木様は、前・厚生労働省データヘルス・医療費適正化対策室長で、健康と経営を考える会では、以前にデータヘルス、第三期特定保健指導などについてご講演をお願いしておりました。

今回、高木様からは2021年に設置されたデジタル庁参事官として、『マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータル × データヘルス』をテーマにご講演いただきました。

デジタルと社会保障の共通点は、制度の仕組みが複雑で巨大なところだが、マイナポータル、マイナカード、デジタルにより誰も取り残されること無く、のぞむサービスを受けられるよう支援していくことを目指しているとのことでした。

2021年12月に閣議決定されたデジタル社会重点計画では、「国民の健康寿命延伸」を目指し、個人が健康・医療情報を医療機関等に必要に応じて共有できるよう、オンライン資格確認やマイナポータル活用など「データヘルス改革を着実に進める」としています。

マイナンバー制度、マイナポータルについては、以下のようにご説明いただきました。

マイナンバー制度

社会保障の公平・公正を実現し、若い世代にとっても納得のいくものとする手段。

マイナポータル

社会保障の行政手続を無くすとともに、利用したいと感じてもらえる体験提供を目指している。
特定健診情報として、問診も含めた情報をマイナポータルで表示できる。準備中のサービスとして、1)レセプトから抽出した診療情報を個人と医療機関・薬局で共有、2)電子処方箋発行も予定している。

間違えやすい点として、マイナンバーカードによるオンライン資格確認では、マイナンバーは使わず、カード内にある電子証明書を読み取ることで確認を行うこともご説明いただきました。
また、既に2019年・健康保険法等改正により、オンライン資格確認が規定されたため、医療機関・薬局で導入が進み、省令等改正を行えば、保険証を廃止(マイナンバーカードと保険証の一体化)できるとの話もありました。


健康経営・データヘルスに熱心に取り組む会員団体の方、会場20名×オンライン39名にご参加いただき、盛況のうちに閉会となりました。